※この記事の利用によって生じたいかなる損害についても、一切責任を負いません。
利用はあくまで自己責任で行ってください。
画像生成AIに出力させた画像を使って自作デカールを作成、MG キュベレイダムドに貼付してキットを完成 させました。
この記事では「プラモデル用 自作デカールの画像」を画像生成AIに出力させる手順について紹介します。
デカールの自作方法については こちらの記事 で。
先に結論
- ローカルアプリだと無料で出来ますが、そこそこ高性能なPCが必要。
- Webサービスを使えばPCの性能は不要ですが、無料サービスだと不便な部分がある(有料サービスならほぼ問題なし)
- 狙い通りの画像を作るのはかなり難しい&時間がかかる。そこそこのモノができればヨシ、くらいの割り切りが必要。
- 著作権侵害にならないよう、注意が必要
実際に使ったシステム構成
今回はローカルで動く画像生成アプリケーション「DiffusionBee」を、モデルは FLUX.1-dev を使っています。
なお、DiffusionBee はMacOS専用。
Windows用としては Easy Diffusion などがあるようです。
この構成を選んだ理由は以下2点。
- 出力したした画像の商用利用が可能
出力した画像にどういう利用方法が許されているか、は複雑で面倒な話です。
この点、FLUX.1-devであれば私の利用方法はカバーされている、と判断しています。 - 無料で使える
Webサービス型のAIでも無料で使えるものはありますが「無料プランだと商用利用不可」だったり、使用回数に制限があったりします。
一方で、ローカル型の DiffusionBee + FLUX.1-dev は無料で回数制限なく使えます。
なお、私が使用したPCは Mac mini M4 Pro (12CPU/16GPU) , 64GBメモリ。
FLUX.1-devモデルでは32GB以上のメモリが推奨スペック(16GBでも動くが動作遅い)です。
なお、DiffusionBeeの使い方 はネット上にたくさんあるのでそちらを見てください。
使い方自体はかなり簡単で、生成AIに関する知識も特に必要ありません。
唯一、経験が必要 かつ 出力結果を大きく左右するのが プロンプト(指示文) の書き方です。
プロンプト(指示文)の詳細
プロンプトは英文で
FLUX.1-dev はある程度日本語にも対応しているという触れ込みですが、私が試した範囲では「ほぼダメ」でした。
プロンプトの英文化はほぼ必須ですが、翻訳サイトなどを使えばよいだけなので大きな問題では無いかと。
プロンプトと画像の例
こちらが実際に画像生成AIで出力した画像。
この画像の色調を変えたものを、実際にキュベレイダムドの肩先に使ったのが下の写真です。
この画像生成に使ったプロンプト例(少し変更してあるのでそのものではありません & 英訳したものを使いました)がこちら。
- 白い背景を使用する。
- 中世ヨーロッパの鎧に見られるアール・ヌーヴォー様式の装飾的な縁飾り。
- 単色のイラストで、輪郭線なし、フラット塗りのみ、クリーンでミニマルなスタイル。
- デザインは鳥の翼、絡み合うつる植物、繊細な葉、小さな花を中心にし、装飾的な曲線で構成されている。
- 色調は青系のグラデーションにする。
改めて自分で見ても「よくこんな文章を作れたな」と思いますが、全部自力で作った訳ではありません。
プロンプトを作るのにも生成AI(ChatGPT等のLLM)を使っています。
プロンプトの作り方例
- どういう画像を作りたいかのイメージを短い文章で表現する
例:「中世ヨーロッパの鎧の装飾」など - 1の文章で画像生成してみる
- 出力された画像と自分のイメージの違いを文章化し、入力する文章を修正・追加する
- 3の文章で画像生成してみる
以下、3〜4を繰り返し
3のところが難しいと思います。
自分でうまく文章化できない場合はLLMを使ってみましょう。
「入力した文章」と「出力された画像」をLLMに投入し、
「このプロンプトでこういう画像が出力されました。もっと◯◯になるようにプロンプトを修正して」といった指示を出してみてください。
慣れないうちは(慣れても)かなり試行錯誤が必要です。
今回はキュベレイダムド用として20種類くらいの画像を作るために、トータル300回以上は画像生成させています。
その他いろいろ
- プロンプトに指示を書いても必ずしも守ってはくれません。普通に無視されたりします。
- あまりにもうまくいかないときは一旦ゼロからプロンプトを作り直したほうが良い場合もあり。
- FLUX.1-dev は高性能な分、生成にかかる時間は長め。私の環境でも1回の生成に6分くらいかかっていました。
- 同じプロンプトでも、モデルが異なると全く違う出力になります。何度試してもイメージに近いものが出来ない場合は、モデルを変えてみるのも手です。
- ある程度プロンプトがまとまってきたら、LLMで「◯◯モデル用のプロンプトとして最適化して」といった指示も効果的。
- 参考までに私が使ったDiffusionBeeの主な設定です。ほぼデフォルトのままです。
Text to image
Seed:-1 (random)
Sampling Steps : 25
Styles : “none”
自作デカールに画像生成AIを利用する場合の注意点
利用範囲
画像生成AIを利用する場合に気をつけるべきポイントして、出力画像をどういう用途に使うことが許されているか、すなわち利用範囲の制約があります。
おおざっぱに言えば「個人利用」と「商用利用」の2択です。
各AIサービスによって、またはプラン(無料/有料)によってもどこまでの利用が許されているか異なるので、必ずチェックが必要です。
画像生成AIに出力させた画像を使って自作デカールを作成し、そのデカールを貼ったプラモデルを写真に撮って画像をネットにアップ、であれば「個人利用」の範囲で大丈夫だと思います。
ちょっと例外的なケースがあるのが「画像をネットにアップ」のところ。
収益化している媒体にアップした場合は商用利用として扱われそうです。
アフィリエイトや広告収入が得られているblog、YouTubeなどでも収益化できている場合は「収益化している媒体」に入るかと。
(このblogもわずかながらアフィエイト収入があるので商用利用扱いと判断しています)
その他、画像生成AIに出力させた画像データ、それを印刷したもの、デカールとして貼ったプラモデル本体、などを販売すると商用利用になります。
著作権
他者の著作権を侵害しないように注意する必要があります。
具体的にどんなところに注意すべきかというと、「似ているか(類似性)」と「元の作品をもとにしているか(依拠性)」の2点になります。
著作権侵害として認められるためには、この2つがそろっている必要があり、どちらかが欠けていれば問題になりにくいです。
つまり、
・似ていなければ著作権侵害にはなりにくい
・似ていても、偶然似た場合は問題になりにくい
ということです。
また、意図的に似せることはもちろん問題なので避けましょう。
私もキュベレイダムド用に「ジオン軍のマークにツタが絡んだデザイン」を作ろうとしましたが、「ジオン軍のマーク」が著作権侵害になるためやめました。
プラモデル用のデカール作成だとついやってしまいそうなので、特に注意が必要です。

コメント