塗装ブースの自作

自作塗装ブース 模型用ツール

※この記事はアフィリエイト広告を利用しています

エアブラシユーザーにとって必需品の塗装ブースですが、せっかく買っても吸引性能に満足できないこともあります。
そんなとき、多くの人が「自作」を考えるでしょう。
今回は、自作塗装ブースの製作方法を紹介します。

今回紹介する塗装ブースのポイント

・本体にカラーボックスを使用:工作の労力・難易度を大幅に低減
・コンパクトなサイズ
・高い吸引力
・費用総額は約12,000円(うち7,500円ほどが換気扇の費用)

完成品の出来栄え

まずは完成した塗装ブースを御覧ください。

自作塗装ブース 完成

吸引力については動画を用意しました。

動画から分かる通り、この方法で可視化できるミストに関しては完全に吸引しているように見えます。

個人的には十分満足できる性能になったと思っています。

必要な材料

No.名称仕様概算価格
1換気扇パナソニック FY-24JG8¥7,500
2カラーボックス1段タイプ 高さと奥行きの内寸が27cm以上¥1,300
3アルミホース+ホースバンド内径100mm¥1,200
4ネジセット x8M4 25mmのネジとナット、ワッシャー¥500
5プラダン最低 30cm×50cm程度¥300
6工作用木材5x10mm程度、最低70cm以上¥200
7両面テープ幅1cm程度¥200
8電源ケーブル¥600
                   合計¥11,800

1. 換気扇
 肝になる部材なので型番指定です。
 カラーボックスに取り付けられる、というサイズの条件を満たしつつ、吸引力、騒音レベルともに満足できるレベルの商品です。

2. カラーボックス
 1段タイプであれば同じ製品でなくても大丈夫です。
 換気扇サイズの都合上、「高さと奥行きの内寸が27cm以上あること」が必須条件です。

5. プラダン
 整流板を作るのに使います。
 入手が難しい場合は普通の段ボールで代用可能です。

6. 工作用木材
 それほど強度は要らないので材質は問いません。加工しやすいものを選んでください。

4〜6については、ネット通販だと高く付きがちなので、物理店舗で探した方が良いです。

注意事項

1. 自己責任での実施
 ここで紹介している手法を実践する際は、全て自己責任で行ってください。
 実施に伴う怪我、損害、事故等については一切の責任を負いかねます。

2. 安全対策の徹底
 電気工作やDIYには危険が伴います。必ず適切な安全装備を着用し、適切な作業環境で行ってください。
 特に電気に関わる作業は、感電や火災のリスクがあるため、十分な注意が必要です。

製作手順

製作中の写真がないため、完成後の画像と補足図面で説明していきます。

① 換気扇の取り付け位置、方向を決める

1-1. 換気扇をカラーボックスのどちら側に取り付けるのかを決める

主な判断ポイントは以下2点。
 利き手 :右利きなら左側、左利きなら右側
 設置場所:「排気ホースの屋外への出し先」が近い側にする
できるだけ2つの条件を一致させるのが望ましいですが、矛盾する場合は利き手を優先で良いかと思います。

出来上がってから「逆が良かった」となったとしてもボックスを反転させれば済む話だったりしますので、あまり深刻に悩む必要はありません。
また、「カラーボックスを縦置きで使う」という方法もあります。

1-2. 換気扇の向き、すなわちダクトをどちらの方向に向けるかを決める

こちらの判断ポイントも 「排気ホースの屋外への出し先」が近い方 が原則です。

排気ホースは出来るだけ短く、曲げ角度も小さくすることが重要です。
せっかく高性能な換気扇を使っていても、排気の抵抗が大きいと性能を活かせなくなるので、塗装ブースの設置場所、換気扇の取り付け位置、ダクトの向きは慎重に検討しましょう。

※以降の説明はすべてカラーボックス左側に換気扇を付ける前提です。

② カラーボックスの側板に換気扇の取り付け穴を開ける

2-1. 角穴を開ける位置を、鉛筆などで側板に書き込む

穴の大きさは240mm角です。
注意点としては、下図のとおり背板(青い部分)が意外と前に出ている、ということ。
側板の全長を基準にして穴の位置を決めると換気扇と背板が干渉しますので、背板の位置を意識するようにしてください。

自作塗装ブース 側板の加工

2-2. 角穴の空け方

所有している工具によって難易度が異なります。

あまり良い工具がない方向けに、私が実際に使った方法を紹介します。
 1. 角穴の四隅にドリルで穴を空ける(先に2mm以下くらいのドリルで下穴を空けてから大きなドリルに変更するとなお良い)
 2. 1の穴に入るサイズのノコギリで切っていく
 3. ある程度切り進めたら大きなノコギリに変えて切っていく
といったところです。

2のノコギリは プラモデル用のノコギリ を使いました(リンク先と全く同じものではありませんが、私のは古い商品なのでもう売ってないようです)。
これで5cm程度切り進めてから大きなノコギリに変えて切っています。
大きなノコギリが無い方は少し大変ですが2のノコギリで最後まで切っても構いません。

なお、穴の精度についてはあまり必要ありません。
換気扇が通りさえすれば大丈夫です。
私の完成品もこの程度の仕上がりです。

自作塗装ブース 換気扇取付部

③ 換気扇の仮止め

②で空けた角穴にきちんと換気扇が収まるかを確認するために、仮止めを行います。
事前に 商品図面工事説明書 に目を通しておいてください。

3-1. 換気扇本体の取付穴(薄肉)を貫通させる

本来はタッピングネジを使って穴を空けつつ固定する事を想定しているため、穴が貫通していません。
この後の作業が楽になるので、あらかじめ5mmのドリルで貫通させておきましょう。
計9箇所あります。

3-2. ②の側板に換気扇本体から外したアダプターを通す

説明書ではアダプターをネジ止めすることになっていますが、しなくても大丈夫です。

3-3. 換気扇本体をセットする

説明書の指示通り、アダプターのガイドに沿わせて確実に入れましょう。

3-4. 側板にネジ用の穴を空ける

換気扇の開口部(ファンが見える側)を上に向けた状態で、側板の位置を合わせます。
そのまま側板を押さえながら、3-1で空けた穴の位置を側板にマーキングします。
マーキングできたら一旦換気扇をアダプターも含めて外し、側板のマーキングした箇所に5mmドリルで穴を空けます。

3-5. 側板に換気扇を仮止めしてみる

もう一度側板に換気扇本体をセットし、ネジとナットを使って固定してみます。
もし穴位置がズレている場合はこのタイミングで修正しておきます。
問題なく固定できることを確認したら、再度、換気扇本体を外しておきます。

④ カラーボックスの組み立て

カラーボックスの説明書にしたがってカラーボックスを組み立てます。

⑤ 整流板を作る

整流板の完成形はこんな感じになります。
寸法はあまり正確じゃなくても大丈夫です。

自作塗装ブース 整流板

5-1. 整流板を切り出す

まず、プラダンを2枚切り出します。
縦方向はカラーボックスの高さ方向の内寸に合わせ、横方向は1枚目:28cm、2枚目:20cmとしました。
次に、切り出したプラダンの上下の辺から、両端20mmほど残し5mm幅で切り欠きます。
出来上がりの形状は下図のようになります。

プラダン(段ボールの場合も)の目方向は横にしてください。
縦にしてしまうと換気扇の吸引力に負けて折れてしまう可能性があります。

自作塗装ブース 整流板の寸法

5-2. 整流板固定用の部材を切り出す

工作用木材をカラーボックスの高さ方向の内寸と同じ長さで切り出します。
ついでに両面テープを3箇所(1枚は中央、上下は端から1cm程度空けて)貼っておきます。
これを2本用意してください。
以下「固定部材A」とします。

自作塗装ブース 整流板固定部材A

さらに、工作用木材を2cm程度の長さに切りとってから、下図の赤点線部を切ってL字型にします。
これを4個作ります。
同じく「固定部材B」とします。

自作塗装ブース 整流板固定部材B

5-2. 整流板の取り付け位置を決める

イメージしやすいようにまずは完成形の画像を。
固定部材Bで位置決めし、固定部材Aが整流板本体を支える形となります。

自作塗装ブース 整流板固定部アップ

真上から見ると下図のようになります。
赤が整流板です。
私が試した結果としては、整流板の位置はアバウトでもあまり性能には影響していない感じです。

自作塗装ブース 整流板の配置

作業の進め方ですが、整流板を仮置きして大体の位置を決めたら、固定部材Bを両面テープで床面に仮止めします。
床面に貼った固定部材Bの真上に来るように、天面にも固定部材Bを仮止めします。

固定部材Aを所定の位置(上の図を参照)に設置してから両面テープの台紙を剥がし、整流板も再設置して固定部材Aに貼り付けます。

整流板を2枚とも設置できたら、固定部材Aごと外しておきます。
固定部材Bは外さないように気をつけてください。
(固定部材Bの貼り付け位置をマーキングしておくと、外れてしまったときに戻すのが楽になります)
また、ここで固定部材Bをグッと30秒ほど押し付けて、しっかりと固定しておきましょう。

⑥ 換気扇をカラーボックスに固定する

6-1. 換気扇を固定する

3-5. と同じ手順ですが、カラーボックスが組み上がっている分、作業がやりにくくなります。
工具をぶつけたりして固定部材Bが外れてしまわないよう、注意して作業してください。

6-2. 換気扇への配線

工事説明書 にしたがって電源ケーブルを配線します。
アースは取らなくても大丈夫かと思います。

ケーブルが引っ張られた場合に接続端子部に直接力がかかる状態は危険(端子部が抜けてショートする、など)なので、画像のように余長を取ってから換気扇本体に結んでおく、などすると良いです。

また、ここで換気扇の動作確認をしておきましょう。

自作塗装ブース 換気扇のケーブル処理

6-3. アルミホースの取り付け

アルミホースを換気扇に取り付け、ホースバンドを使って固定します。

⑦ 完成

整流板を再度取り付ければ完成です。

オプション

・換気扇の吸込口にフィルターを付ける
 100円ショップ等で売っている27cm角の焼き網に換気扇用フィルターを組み合わせて使用するとサイズもピッタリなのでオススメです。

・カラーボックスの内壁にプラダンを貼り付ける
 掃除がしやすくなるかなと思い、私は内壁全面にプラダンを貼り付けました。
 これをやる場合は手順④のタイミングで行います。

・整流板を1枚にする
 製作の作業量を減らせます。
 2枚の場合に比べると整流板の間からの吸込口が無くなりますが、おそらくそれほど性能は変わらないと思います。

・カラーボックスの背板を外張りにする
 メリットは塗装ブースの奥行きを1cm程度大きくできること。
 さらに背板そのものを半透明のプラダンに変更することで、背面側からも光が入るようになり塗装ブース内を明るくすることができます。

・2段もしくは3段のカラーボックスを使う
 固定設置するスペースがある方は収納棚を兼ねて大きなカラーボックスの段数を増やしても良いかと思います。

吸引力チェックの方法

冒頭の動画について少し補足しますと、
・画面左側が塗装ブースで、真上から撮影
・画面右側からエアブラシを吹きかけ
・蛍光塗料とUVライトを使用することでミストを光らせて可視化
となります。

蛍光塗料はガイアノーツのエナメル蛍光グリーンを5〜6倍程度に希釈したものを使用し、
コンプレッサーはGSIクレオスの Mr.リニアコンプレッサー L7 の最大エア圧のまま、
エアブラシの塗料調整は最大、で吹いていますので、私の環境において実現可能な最大ミスト量で撮影しています。

撮影上のポイントは、UVライトに反応するものや光を反射するものは徹底して排除すること、です。
例えば、今回の撮影では塗装ブースの上と床面に黒いマットを敷いています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました